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もう初夏という感じに暑くなってきたな、と思っていたら葵をアイスを買ってきた。
「はいはい。どうぞ♪」
「おっ、気が利くな」
葵から某コンビニのロゴの入ったビニール袋を受け取る。
入っていたアイスは4本。
そして現在応接間にいる人数は6人。
・・・・数が合わないんですが?
そう、思っていると葵がアイスの袋に書いている文字を指差した。
「が○が○君 4本買えば1本無料(キャンペーン)」
なる。道理で気前良く買ってくるわけだ。
だが、足りないには違いない(ここで倍率ドンで8本買ってこないあたりが葵
さて、どうしよう?
悩んでいるともう一度、葵が指差した。
翠「はい、彩♪」
彩「え、えっ・・・・あ、有難うございます」
翠が一口二口と食べた後、残ったアイスを彩に渡している姿が見える。
微笑ましい光景だ。
なる。あんなふうに二人で分けろと。
空「ご馳走様」
葵「いや、夏はやっぱりこれですね」
空と葵はもう早々と完食済み。
自然と残されたアイス1本と舞那に目が向く。
「お先にどうぞ」
「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ばちっ!!!
・・・・・ビンタされました。
で、結局のところどうなったかというと・・・・
「まさか、箸で食うことになるとはね」
小皿の上に棒を取り除き包丁できっちり真っ二つになったアイスを口に放り込む。
ん・・・・水ぽい。
「に、兄様がいけないんですよ」
未だに頬を赤く染めた顔で舞那がそっぽむく。
確かに失言だったよな、今反省中。暑さのあまり頭が活動していなかったぽい。
葵「あはは、兄妹なんだから気にしなくていいのに」
舞那「し、親しい仲にも礼儀ありです!!」
・・・・絶対こうなると分かってしただろう。
奴の善意には裏があると再認識した初夏の昼下がりだった。